座高円寺ネタ、そしてリーディングネタが続きますが(笑)
3月2日(土)に、
日本劇作家協会主催の『月いちリーディング』に出演してきました。
『国語の時間』と同じくト書きで。
最近ト書きづいてます(笑)
最近じゃないか。
いわきアリオスでのドラマリーディングワークショップでもほぼト書き担当、
あだ名で「ト書きレジェンド」と呼ばれてしまうほど長谷さんには鍛えられたものですが。
おかげさまで、一部でご好評いただいているようです、わたしのト書き。
話がずれました。
『月いちリーディング』。
それってどんなもんじゃらほい、と思われる方にちょっとご説明を。
演劇は上演されて初めて完成するものです。
その設計図である戯曲は、作家の頭の中で、そして紙の上で、
一生懸命考えられ生み出されてゆきます。
ところが、物事は何事もそうですが、
人の身体で実際やってみないと生身の感触はなかなかつかめません。
上演する段階になって「ああ!あそこをこうしておけば!」とか
「あれ?思ったように伝わってないみたい」みたいなことはたくさんたくさん起きてきます。
そして上演している段階まで行ってしまうとなかなかそれは修正しづらいものでございます。
戯曲の公開リーディングというのは、欧米ではよく行われていて、
それは何のために行われているかというと
「上演にむけてスポンサーやプロデューサーにアピールするため」
という製作的な目的もありますが、他に
「俳優の声で読んだときにどんな光景が見えてくるのか」
「よりよくするために改善できるポイントはないか」など、
戯曲をブラッシュアップするために、
観客も交えてディスカッションすることを目的としている場合も多いのです。
お芝居を上演するというのは
大きな時間と大きなお金と何人もの人を動かす大掛かりなものですが、
リーディングだったら場所も予算も人の時間も、
そんなにかけずに開催できる気軽さもあります。
日本劇作家協会が主催しているこの『月いちリーディング』は、
若手の作家の作品などを取り上げ(各個人で応募します)
その戯曲をブラッシュアップをすることを目的に定期的に開催されています。
詳しくはこちらのページでどうぞ。
第一部は「俳優による公開リーディング」(全編)
第二部は「ディスカッション」←こちらの方が会の趣旨。
作家当人、ゲストの劇作家、そして観客を交えて意見を交換して
戯曲の良い点、問題点、目指すべきところなどをあぶりだしてゆくのです。
私が参加した今月の戯曲は、
世田谷シルク主宰・堀川炎(ほりかわほのお)さんの『緑の指』という作品でした。
パフォーマンス成分の非常に多い作品で、
今回のファシリテーターの谷賢一さんが
「まったくもってリーディングに向いていない作品です」と断言したほど、
肉体的なイマジネーションの豊かな作品でした。
一読したとき「おおお、これ、一人で読んでも、どんなリーディングになるか想像がつかんぞう」
と、がくがくぶるぶるしたものですが、
やっぱり人の身体で読むとはすごいことですね。
谷さんの手腕もあって、色鮮やかなリーディングになったと思います。
ですが、そう「本番はここから」という本番、第二部ディスカッション。
ゲスト劇作家は鴻上尚史さん、瀬戸山美咲さんのお二方だったんですが、
このお二方の演劇に向ける愛情の深さとエネルギーの大きさに
わたしはひたすら感服しておりました。
1つ質問があるとすぐさま意見や見解を提示し(それがいちいち明確で明晰)
それに触発されるようにどんどん観客の方々も意見を言う。
皆さんの意見ひとつひとつが温かみを持ち、
この戯曲をよくするために一体何ができるだろう、と全員が真剣に、
でも楽しく意見交換をしている、非常に建設的な現場でした。(そして満席でした)。
いい空間だなあ、いい企画だなあ、と
参加するのは2度目なのですが、いち演劇人として本当に気持ちが豊かになる、いい現場でした。
まあ、そうは言いましても、当のわたし自身は、
当日しか行われないリーディングの稽古と、
あっという間に来てしまった本番で気力を使い果たし、
まったくもって議論するどころでなく、
たいして良くもない頭を「へへえ」「ほほお」とうならせているので精一杯ではありましたが。
堀川さんは、小柄な身体をさらに小さくするかのように緊張している面持ちではありましたが、
きっとこの経験を次に繋げていってくださるのではないでしょうか。
次回の世田谷シルクの公演、私もぜひ見に行ってみようと思っています。
そしていつかこの『緑の指』がブラッシュアップされ再演されるなら
ぜひ、見に行ってみたいです。
なんか、そこまで目撃してみて初めて
この『月いちリーディング』がコンプリートされるような気がします。
スポンサーサイト
□ TOP □